新聞広告がこれほど美しいなんて、ありえない

このご時世、九十歳を超える私の祖父でさえもう新聞を読まなくなった。だからこそ、日本五大商社の一つである伊藤忠商事が今もなお新聞広告を出稿しているのを見つけた時には、正直驚かされた。

しかし、目を通してみるとこう思うだろう——確かに新聞社の方から頼み込んで出稿してもらっているのでは?と思えるほど、このように美しい広告なら、新聞の売り上げも伸びるのではないだろうか?

さらに特筆すべきは、従来の「一稿多投」という新聞広告の常識とは異なり、伊藤忠商事のこの2023年新年広告は日本の五大新聞全てに出稿されており、各紙それぞれに独自のコピーとビジュアルが用意されている。そして五紙を全て集めれば、心温まる一日が手に入るという仕掛けだ。

さっそく見ていこう。

『日本経済新聞』:おはよう 2023

早起きした犬が散歩に行きたがって吠えている
ストーブをつけると、部屋の空気が溶けてしまいそうだ
台所からは、まな板の上で野菜を切る心地よい音が聞こえてくる

また日常が始まる

心地よい毎日の中で
私たちは環境汚染と食品ロスの問題を同時に解決したいと考えている
私たちはこれからも、ビジネスをより身近なものにしていく


生活・愛・ビジネス

Dear Life 伊藤忠商事

『朝日新聞』:行ってきます 2023

リモートワークが可能になったおかげで
子どもを送り出してあげられる
軽やかな足取りから、あなたの気持ちが伝わってくる

新しい働き方が日常になった
また日常が始まる

心地よい毎日の中で
私たちはこの地球の問題について考えたい
私たちはこれからも、ビジネスをより身近なものにしていく


生活・愛・ビジネス

Dear Life 伊藤忠商事

『毎日新聞』:おかえりなさい 2023

部屋に入ったらすぐにストーブをつける
お湯で手を洗うと感覚が戻ってくる
着慣れた部屋着がなんだか心地よい

暖房を1度下げる代わりに、上着を一枚多く着込んだ
また日常が始まる

心地よい毎日の中で
私たちはこの地球の問題について考えたい
私たちはこれからも、ビジネスをより身近なものにしていく


生活・愛・ビジネス

Dear Life 伊藤忠商事
 

『読売新聞』:いただきます 2023

炊きたてで艶やかな白ごはん
具だくさんで熱々のお味噌汁
食卓の下でおねだりする犬

年末に余った野菜が、ぬか漬けから目を覚ます
また日常が始まる

心地よい毎日の中で
私たちはこの地球の問題について考えたい
私たちはこれからも、ビジネスをより身近なものにしていく


生活・愛・ビジネス

Dear Life 伊藤忠商事

『産経新聞』:おやすみ 2023

湯気の立つ熱めのお風呂
ふわふわの白いタオル
洗いたてのパジャマ

湯たんぽで温めた布団にもぐり込む
また日常が始まる

心地よい毎日の中で
私たちはこの地球の問題について考えたい
私たちはこれからも、ビジネスをより身近なものにしていく


生活・愛・ビジネス

Dear Life 伊藤忠商事


最後に、この一連の広告は、伊藤忠商事が2022年夏に開始したDear LIFE「生活・愛・ビジネス」シリーズの第2弾プロモーションであり、イラストレーターの安藤巨樹氏が描き下ろしたものである。

特筆すべきは、各イラストに添えられた挨拶の言葉が、日本語のひらがなやカタカナではなく、すべて英語で表記されている点だ。これについて、制作側の一人である戸田宏一郎氏は、それぞれの挨拶が絵の一部となることを願ったと説明する。また、新聞が新年の仕事始めの日に読者の手元に届くことを考慮し、日本語で表記すると挨拶が単なる挨拶としての機能に留まってしまうが、ブランドとしてはこの「願い」を贈り物として届けたいと考えたため、英語の表記を採用することで、その想いを視覚的に伝えることができるのだという。

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